電話とFAX(2)
ファクスの今
現在も広く使われているアナログファクスは、昔パソコン通信でつかわれていたものと同じ、コンピュータのデータを音声信号に変えて通信する方式です。パソコン通信のときは、文字データが中心でしたが、ファクスの場合はスキャンした画像データを電話回線を通じて受信側ファクスに送るということになります。
あくまでも電話の音声周波数帯域をつかっての通信ですので、平均的なアナログファクス機の速度は最大14.4kbpsとインターネットの平均的な通信速度からすると1000〜10000分の1の速度です。したがって、通信品質の向上と送信時間の短縮のため、普通のアナログ機の先にインターネットによるデータ通信が可能な場合は、データ通信をIPパケットで行うT.38方式が採用されています。
しかしながら、このT.38によるファクスは双方が対応の機器を持っていないと意味をなさないため、一部の高額なオフィス用複合機をのぞいて搭載されていないようです。したがって、家庭、企業の通信が高速化した現在でも、ファックスに関してはその恩恵を得ていないと言えます。
調べていたところ2016年ごろにファクスの現状をまとめたものがありました。
https://www.hats.gr.jp/japanese/demonstration/2016/part2.pdf
私のうちにもファクス機能付きの複合機がありますが、これにはアナログ電話回線がつながっていないので、ファクスとしては使っていません。ファクス機を使わずに、ファクスを送受信するには、クラウドのファクスサービスを利用する(大体月1000円くらいが多いようです)か、下のIP-PBXの機能として組み込むしかありません。
IP電話のシステム化
ところで、一番簡単なIP電話の開通は、スマートフォンの050番アプリのIP電話サービスに登録することですが、留守録やメールでの着信通知などだけであれば、それだけでも十分かと思います。
050アプリを終了させれば、基本的には着信しません。
ただ、時間外などのアナウンス、IVR(自動応答)、内線通話・電話会議など、もう少し高度な機能が必要な場合は、内線交換機(PBX)を使用することが必須になります。
今はクラウドPBXという名前でたくさんクラウド型サービスが提供されているようです。1台350円〜など低価格なものもありますね。
そうした廉価のクラウドPBXにつかわれているPBXのソフトウェアはあまり前面に書いてあることがないですが、(書く必要もないですが)ほぼ100%、オープンソース(OSS)のasteriskであるとおもいます。一定の知識は必要になりますが、OSとAsterisk、管理ツールを一括インストールするディストリビューションもいくつか公開されていますので、そういうものを使えば、自分でもPBXを運営できます。
ハードウェアもとくに変わったものは必要でなく、普通のPCで十分です。ただし、24時間稼働させる必要がありますので、省電力で静かなものがいいです。そんなに重い処理が必要でないので、ワンボード型のRaspberryPIなども使われているようです。5000円くらいの本体とSDカードがあれば、既存のものを使って、セットアップできます。またRPI向けのPBXディストリビューションも出ています。このディストリビューションにはファックス機能も付いているので、これ一台でSOHO用途であれば、十分です。
うちでは、使っていなかったコンパクトPCにやはりOSSのasteriskの管理用ツール、Freepbxを導入して050の回線3本と海外用の安いIP電話プロバイダー(ベトナムまで0.06USD/min !)を外線として使っています。
IP電話機には050の事務所用と自宅用の2回線を登録し、もう1回線はファクス専用回線としています。毎月かかるのは050の一回線月324円のみで、あとはプリペイドもしくは使用分のクレジットカード決済です。
このFreepbxには外部モジュールも入れると使い切れないほどの機能がありますが、私が使っているのは、
- voicemail(留守番電話)とメールでのメッセージの転送
- 時間帯による自動応答
- ファックスの受発信と着信分のメール転送
- 着信・発信履歴
- 通話内容録音
ぐらいですが、仕事用には十分です。最近は通話にしても無料通話アプリが増えてきて、電話を使う機会が減ってきていますが、色んな所への登録上、また汎用的なツールとして、公開する電話番号をフレキシブルに運用出来た方が都合が良いと思います。
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